術後

目が覚めると、手術は終わったようだった。看護師が何か言っていた。よくわからない。
ぼんやり周りを見渡した。
ストレッチャーにのせられて、ああ、終わったんだな、とようやく実感した。まだ夢の中にいるみたいだった。部屋に戻ります、と言われた。

うわ言のように、気になったことを全部いった。
お腹が痛いです。「痛み止使いますからね」
どこにいくんですか「お部屋に戻りますよ」
中身は検査してくれますか「検査しますよ」
ひとつひとつ答えてくれた気がする。
でも、赤ちゃんはもういないんですね、という言葉には返答がなかった。答は要らないと思われたのかもしれない。私も、なぜそんなことを聞いたのかわからなかったから、それからは黙った。

部屋について、母へお腹のなかは綺麗になった、麻酔が完全に覚めるまで横になっておくこと、痛みが強いようであれば呼ぶように説明があったそうだ。
私はベッドにうつされて、熱や血圧をはかられた。遠くで鐘の音がゴーン、ゴーンと聞こえて、ちょうどお昼なのかなと思った。あとから母に聞くと、帰ってきたのはちょうど40分後の11時40分で、鐘の音なんてしなかったと言われた。麻酔の影響で幻聴がしたんだとおもう。

しばらくして尿意で目が覚めた。前もって渡していた生理用ショーツに夜用のパッドがつけられていて、薄い血がついていた。もう、私のお腹には赤ちゃんがいないんだな、と思った。そういえば、つわりも消えている。

お昼を食べて、またしばらく休んだあと、退院した。夫へはメールした。お疲れ様、と返事が来た。