手術前夜

夜、一人の病室で寝た。夫が、電話をくれた。個室に甘えて、すこし話をした。泣いたら、励ましてくれた。途中、夫の声がしなくなったと思ったら、小声で人が早口言葉をいっているみたいなノイズ(他にどう表現したらいいか分からない)が入って、切れた。怖くなったけど、夫から再度着信があって、夫は気にせず寝ろといった。赤ちゃんが私たちの会話に入ろうとしてきたのかな?とか前向きに考えて寝ることにした。
思ったよりすーっと眠れたが、夜中のつわりが辛かった。手術前なので絶飲食と説明されており、何も食べたり飲んだりできない。
2時過ぎに一旦めがさめると、それからは寝ようとしても眠れなかった。

このつわりも、手術したらなくなるんだなあと考えると涙が出た。
夫に手紙を書いたり、ツイッターに気持ちを吐き出したりした。

赤ちゃんのことを考えた。
赤ちゃんがいるとわかって、もっと栄養を考えた食事をしておけばよかった、とか、股関節のストレッチをしとけばよかった、とか、夫との旅行をしたかったな、とか広い部屋に引っ越すべきだったかな、とかたくさん考えていた。流産になったから、やりなおしのチャンスをくれたんだと思った。私の体を大事にすることは、未来の赤ちゃんを大事にすることなんだな、と知った。今まで、外食ばかりでお酒ばかり飲んでいたことを反省した。
まわりに、たくさん助けてくれる人がいることを知った。思っているよりも世界は優しいと思った。夫が、思っていたよ頼りになるひとだとわかったし、今回のことで私たちは夫婦になったんだなって思った。

赤ちゃんは、私たちのために自ら身を引いたんだよ、といわれたときはあまり嬉しくなかった。そんなの勝手に決めないでほしかった。
でも、赤ちゃんも一生懸命頑張ったけど、だからお腹のなかに必死で残ってくれたけど、でもだめだった。赤ちゃんも、私も、まだ力不足だったんだ、っていうネットの書き込みをみて、そうだなって思った。頑張ってくれた赤ちゃんにありがとうって言わなきゃな、いったんお腹のなかをきちんときれいにして、たくさん準備して、また私のところに来てくれるように頑張ろう、と思えた。
手術の日の、朝5時くらいだった。

たくさんのことを教えてくれて、ありがとう。