入院

入院前、夫と話をたくさんした。「俺は、正直まだ父親としての自覚はそんなになくて、流産ときいてショックだったけど、お前ほどじゃなかったと思う。だから、ごめん」と謝られた。父親としての自覚なんて、生まれて数ヵ月たたないとみんなできないよ、そういうものだよ、と話すとホッとした様子だった。夫なりに罪悪感というか、複雑な感情があるんだろうなあと思った。素直に話してくれたことで、夫のことを信頼できると思った。

一緒に病院へ行った。タクシーのなかでも手を握ってくれていた。
夜中泣いてしまいそうで、個室にしてもらった。
夫は休みだったが急な研修が入り、あとから来た母と入れ替わる形で一旦職場へ。
術前の検査をすませて部屋へ戻ると、義母と義理の姪たちがいた。夫から今日聞いた、すぐにこれずにごめんね、といって慰めてくれた。
私は、ありがとうございます、と言ったが、何を話したのかあまり覚えていない。義母はとても喜んでくれていたのに、申し訳ないな、と思っていた。
テレビのことや、夫の子供の頃のはなしをしたのは記憶にある。
「私は、階段から落ちても流産しなかった」という話をされたときはどう返したらいいかわからず、すごいですねーと笑った。なんで自分が笑えるのかわからなかった。流産した私に、その話はきついなあ、と思ったけど、義母も悪気はない様子だったから流した。

義母たちが帰って、夕食をとった。夫が戻ってきて、お義母さんたちが来てくれたよ、とだけ報告した。嫌だったことを話すより、赤ちゃんとの時間を大切にしたいと思った。
夫は、優しくてを繋いで話してくれた。嬉しかった。