稽留流産の診断。

前回とは違うが、優しそうな先生にみてもらった。特に体調は変わらず、お腹のはりもなく、出血もないことを確認し、じゃあエコーへ、となった。

エコーがはじまった。
卵巣異常なし。胎児は大きくなってるね、9週くらいだから予定通りの大きさだね、と先生が話す声を聞きながら、喜んだのも束の間。なんだか、私は嫌な予感がした。
先生も、おや、という感じでエコーの先を動かしていた。
私も嫌な予感というか違和感の原因に気づいた。

前回見えたチカチカした光が見えない。
うそでしょ、うそでしょ、と心のなかで繰り返した。大きくなってるのに、お腹もいたくないしつわりもあるし…
「心拍、みえませんね…うーん…」
先生は、エコーを終えて、また診察室へ来てください、と言った。

私は呆然とエコー室を出た。
まだ、頭のなかではうそでしょ、と繰り返していた。泣きそうだった。相変わらず、産科の待合室は幸せそうな雰囲気なのになぜ私はこんな孤独と絶望のなかにいるんだろう。

診察室へ入ると、先生はゆっくり話してくれた。
「大きさは、しっかり9週くらいある。今日が9週3日でいいでしょう。赤ちゃんの心臓が止まったのは、本当に、ここ1日2日だったと思う。貴女が悪いとか、何が悪いというのはない。初期の流産は、赤ちゃんの染色体異常が原因であることが多い。赤ちゃんが、残念ながら弱かった。自然淘汰であり、どうしようもない。今回は残念でしたね。」
自然流産より、手術のほうがいいでしょう、という話もされた。私は、真顔で聞いていた。話を聞きながら、はい、はい、でも仕事が…とか言っていた。
職場と話して、入院できそうな日が分かったら教えて下さい、といわれ、夜勤はしばらく控えるようにと言われた。全部上の空で返事したけど、割りと覚えていた。

診察室から出て、看護師に手術や入院の説明を受け、会計をして外へ出た。
お腹をさすりながら、呆然としていた。バス乗り場へ向かいながら、夫や家族や職場や友人に、申し訳ない、悲しいし寂しいし、どうしたらいいかわからない、とぼんやり思っていた。涙はでなかった。

とにかく、頭が真っ白で、思考が停止していた。